Art Space Seiko

”ーーーぶたい、ぶたい、暑くも、寒くもなくーーー”





五月晴れの日々がーー毎日、毎日ーーたいへん気持ちのいい日ばかりです。
 
太陽光線がキラキラ、その光線が川面の波なみに反射されて、もう一度きらきら、

海のちかくの、かすかに潮のかおりがする 、涼しい川風がちょっと汗ばんだほほに涼感をあたえてくれる。

木々の新緑の葉っぱ、その葉っぱの間からもれる太陽光線、

見上げれば葉っぱの重なりと光線のなすモゼイク模様。

毎日の散歩の楽しい経験の一部でした。 (西田有輝)  
 


梅澤 和夫


                  幕間

父の見舞いにゆく
道はミズナラ林のなかをゆく
飲み込まれ消化管を進むように

萌え出した緑が圧倒的にまぶしい
アレグロ楽章が始まる直前の静寂
熱いのにひんやりした香り

病室はコンクリートの胎内
よこたわる父の姿
幕ひき後の劇場のよう







5月8日、9日と父の見舞いのため帰郷していました。 病院に行く途中、森の木々は新緑に輝かんばかりで命の息吹に満ちあふれていました。 それは、もう間もなく消えようとしている父の命とは対照的です。 熱いくらいの木々の息づかいも私にはテレビの画面のようで目には映っていても肌触りの無いものでした。

舞台でスポットライトを浴び熱演している役者さん。 観客は引き込まれ自分も劇の中にいるようになる。 しかし劇が終わり、幕がひかれ、劇場全体が明るくなると現実の世界に引き戻されしまう。

幕ひき後のそんな瞬間を作品を拝見し感じるのは父のこともあるからでしょうか。 しかし、私は幕ひき直後の感覚が好きです。

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