GUEST CORNER

お客様コーナー
わたしが絵をホームページにアップすると、
いつもその絵に文章と詩をメールで送ってくださる
 梅澤 和夫さんのページです。






  ”さんじゅうそうを拝見して ”

     
好きな香り

秋が終わろうとしている森に入る
紅葉の香りが私を包み込む


さらっとしているが、しっかりしている
ひんやりとしているが、冷たくなく
しっとりとしているが、べとつかず
にぎやかであるが、やかましくない


若葉のように脂こっくなく
花のように艶めかしくない
冬木立のように黙っていない


コンサートの余韻のような香り


茶色に染まりつつある森の中
これが最期と紅葉が香っている






平成13年 10月29日


梅澤 和夫

救命救急センターに配属されカレンダーとは関係ない勤務形態の生活が始まり1 月が過ぎました。平日に勤務休日が回ってきたので届けておいた荷物を取りに那 須の家に帰りました。

朝、森の中を散歩していると瑠璃カケスが静寂を切り裂くように泣いていました が、すぐに静けさに飲み込まれシンとした空間が戻ってきました。 紅葉は最盛期を過ぎており、散っている葉は茶色で冬色に染まっていました。

しかし、まだ森には紅葉の香りが満ちあふれていました。それは落ち葉のような 乾いた香りではなく、より生っぽい、かといって青葉のような瑞々しさは感じら れない香りでした。

にぎやかな香りですが真夏のむせ返るようなやかましさは感じません。思 いっきり深呼吸をすると疲れ切った後にのむ紅茶の香りのように落ち着いた気分 になりました。

木々の紅葉も黄葉も鮮やかなのに派手さはなく深みがあり落ち着く色をしていま した。

自然の香り、自然の色


一瞬のうちに過ぎ去ってしまう物ですが消えて無くなってしまうからこそ良いの でしょう。そして、盛りを少し過ぎたくらいがちょうど良いと思います。 良い休日を過ごせました。

作品を拝見し紅葉が終わりかけた少し冬色に染まりかけている森の中にふわふわ と浮かんでいる光の温度を感じました。

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