Art Space Seiko
”続 ああ、楽しかったあ〜。”





西田有輝


タイトルを ”続 続 続 ぞく ぞく ゾク ああ、楽しかったあ〜。” としたいほどおもしろい作画のプロセスでした。 それでしつこく、もう一度イメージを反転させました。

私は同じ言葉が繰り返されるのが好きなようです。 絵のタイトルに ”クルクル”とか ”てんてん”とか ”ぞく、 ぞく”とかーー ー
確かにこれらの言葉を口にするときの、唇の形とか、そこから出てくるサウンドは大好きです。

むかし石版画の勉強をしていたときは、イメージを反転させれば、そこで終わりでしたが、こんかいは反転させたイメージが出発点になっています。 創造ということを考えれば、これらには大きな相違があります。  




梅澤 和夫




                  風

冬の夕日に染まる空
地平線はあわく赤紫に染まり
たなびく雲はまだ青白く
目の前の榊の木は
黒くシルエットを浮かべている

風に吹かれゆらゆら動く木の姿
囁くように
歌うように
叫ぶように
風が榊を動かし
榊が風に歌う

人は色々と考える
ただ風に吹かれた榊を見て


配色が変わると全く違う作品のようです。 私もクルクルとかワイワイとかの擬声音的な反復言語を会話の中に入れる癖があります。 言葉とは思考の客観的表現方法ですが私の頭の中は主観的な感受性を大切にする 傾向があり患者様の診察時も見た感じの活気など主観的な感触を大切にしています。

これは私に限ったことではなく医師ならば誰でも行っていることです。 医学という客観的な学問的知識と患者様診察時における主観的な感受性の両者をつなぎ合わせて治療するのが医師の仕事です。 一見、矛盾するようですが, 客観的科学思考と主観的感受性は表裏一体なモノで根本的には同一のものです。

そういう見かたからすれば芸術と科学も人間とは何か、自然とは何か、つきつめれば真とは何かを求めるものであり根本的には同一のものではないでしょうか。




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