Art Space Seiko

”ああ、これこそ皆々様あけましておめでとうーーですね。”




梅澤 和夫

写本は大変ですが、買って読むより品質の高い時間が過ごせたのではないでしょうか。

昨日、難病の為、12歳で夭逝した少年の物語をテレビでみました。 いまはもういない命がテレビのなかに生きています。 そして私に語りかけ、教えを授けてくれました。 生きている体はもうありませんが、少年の心は時の中に生きつづけ、私の心の中に新たに生まれ出ました。 命とはこのようにして語り継がれるのですね。

作品の赤いマルはくるくる回っているような感じがあり、その力を受けて上端が波のようにうねり動きつづけるような感じを受けます。 うねる波はめくりめく ”とき ”、時を動かす赤い丸は ”いのち ”

この世から生命が無くなったら時も止まってしまうような感じがします。


先週からの続きで、私と本について書いてみます。 本を読むのは
ベッドに入って寝入る迄のあいだです。 何年か前には”竜馬がいく”
等の司馬遼太郎さんの小説を読みだして、寝るのを忘れたこともあ
ります。 歴史小説の面白さを満喫したようです。 歴史的事実の
かなたにいる人間がよみがえってくるようでーー

私の数少ない蔵書のなかに3冊だけ私と深く関わった本があります。
1冊めが ”タマリンド石版画研究所の石版技法書”です。 いろい
ろ本屋さんを探したのですがちょっと古い本で在庫が無く見つかりま
せんでしたので、図書館からその本を借り出して、技法を覚えること
もかねて、全ページをノートに書き写しました。 たしかにノートが
6ー7冊になったと思います。

ずいぶんあとでその本が美術館の書籍部で売られているのを発見して
直ちに買い求めました。 そのとき思ったのです。 明治維新の書生
のように必死に書き写したけれども、”何や〜本あったやないかあ〜!”
”無駄な努力したなあ〜”ーーと

いまはほとんど石版画の技法は忘れてしまいましたが、”読みながら、
書き写し、それを実践する。”ーーなかなかいい勉強方法ではないか
な? もし最初から本が見つかっていたら、このような真剣さでその
本と接することが出来たかな〜と考える私です。

追記  このメッセージをホームページにアップして、絵を眺めなが
ら空想しました。 もし”お風呂やさん”の壁にこの絵を描いたらお
風呂に入るのがもっと楽しくなるのかなあ〜と。 (西田有輝)




いのちのちから


くるくる
ごそごそ
こちゃごちゃ
小さな命がいっぱい
うごめいている

小さな息づかいが
いっぱい集まって
大きな力となり
空気を動かし
星を動かし
時を動かしている

命は時を生み
時は命を遠くへ運ぶ

今、生きている命
そして
時の中にほんのり香る命

時を感じてごらん

いつまでもいっしょだよ

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