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”小さな、小さい、小さきものの、運動会 ”



      散歩する公園の歩道や階段は、いろいろな色の、材質の、形の、石やレンガやスレートで、カバーがされています。
 
      そのデザイン的面白さもさることながら、敷石の間の、わずかなすき間から、顔を覗かせる”雑草 ”の生命力ーー
      あれ! こんなところから草が生えているよーーには驚かされます。
 
      まるで敷石を舞台にして、青々とした草が舞踏をして、あっちこっちに飛んだり跳ねたりしたみたい。

 小さな、小さい、小さきものの、運動会の絵

それに敷石の下には沢山の””がすんでいるようなのです。 おそらく忙しく、働いているのでしょう。

その敷石のすき間に小さな穴をいっぱい、いっぱい作って、その穴のまわりに 、掘り起こした砂を、円形に きれいに積んでいるのですから。

蟻さんや、雑草がちょっと私を楽しませてくれました。

それで、”小さな、小さい、小さきものの、運動会”です。
(西田有輝)

梅澤 和夫


                        夏の力


夏になった

草木の葉はすっかり大人の色

深呼吸をするとジットとした葉緑素の香りが肺に絡みつく

土は水と養分で腹いっぱい

足もとからムンムンと腐葉土の匂いが這い上がってくる

虫たちはあたり一面で飛び跳ね、這いずり、蠢き

夏の力を精一杯、吸収しようとしている

生きている

すごい力でみんなが生きている

やかましく

しつこいくらい

クラクラして息が止まりそうだ

先週、帰郷したとき近くの中学校で運動会をやっていました。 運動会に限らずみんなで一緒にひとつのことをやるとき、中学生くらいの思春期の男の子は、運動会や文化祭などのような集団行動では、計画段階では素直に参加できず、ちょっと斜めに構えているものですが、いざ競技などがはじまるとすぐに熱中して連帯感が出て、終わる頃には高揚し、その場を離れがたい気持ちになる。

思春期のエネルギーは、はにかみながらもベタベタと絡みつく様な、くどいくらい圧倒的な生命力を持っています。

作品を拝見し思春期の複雑で純粋な姿を感じました。



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