5/10/98
“うらおもて、おもてうらのつづき”
裏表(うらおもて)、表裏一体(ひょうりいったい)、訓読みする、音読みする、それによって読み分けされているように思います。
紙―絵の支持体―の両面を使うと、使用する紙の性質・種別によって、いろいろ面白いことを経験出来ます。例えば、厚い紙を使うと、その制作のときから、表の絵と裏の絵は、それほど、お互いにその影響を受けることなく、その紙の上に存在するようになります。
ところが、薄い紙の場合、その制作のときから、両面の絵は、干渉しあいます。 表のラインは裏のライン、表の赤色は裏のあか、もし両面(うらおもて)を同時に進行するとすれば、二枚の絵の完成まで、その絵の存在の一部あるいは全体が、もう一方の創造の基礎となり続けます。
その関係は、表・裏と別個に分けて考えられるものと違い、表があるから裏があり、裏があるから表あり、という表裏一体の存在となります。
私が、いま、使っているバーラップという素材は粗く織られた麻布で、コーヒー豆を入れる袋として使われています。 まるで、目の積んだ金網で、その網から小さい毛がいっぱい生えているようである。
この布に絵を描きだした頃は、白いキャンバスのように、塗料をまず下塗りして、その上に絵を描いていました。その絵を描いた面の裏側はどのようになっているかが気にかかり、よく裏側を見ていました。いつもいつもそこには、白いキャンバスの裏にみられる茶色の規則正しい織り目とは違って、下塗りの塗料と茶色の麻の織り目が複雑に絡み合い、面白い、楽しい、様子を見せてくれます。
いろいろな色の下塗りを使うことによって、茶色と白以外の、色の対比も楽しめます。 織り目が粗いですから、一度の下塗りで全ての目を埋め尽くすということはできません。 下塗りのあとも、無数の小さな穴があいています。 そのうえに絵を描いていきますから、その小さな穴から塗料が、裏側に、滲み出してきます。
絵を描いてゆけば、その裏側には意図せざる、絵とか絵のバックグラウンドができていたりします。 そこに新しい創作のチャンスを発見したりして、バーラップの作品には裏表に絵が描かれているものが多いです。 (English site)
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